
成長ホルモン補充療法は、全ての方が成長ホルモンの治療を受けられるということではありません。一般的に成長ホルモンの治療においては、糖尿病の方、悪性腫瘍のある方、妊婦や妊娠している可能性のある女性は禁忌とされています。
また、実際の治療では、成長ホルモンだけでなく、他の欠乏しているホルモンの補充療法も行われますので、他のホルモンとの相互作用にも注意が必要です。
【次の方は成長ホルモン治療を受けられない可能性があります】
- 糖尿病の方(成長ホルモンがインスリンの作用を妨げるため)
- 悪性腫瘍のある方(成長ホルモンが細胞増殖作用を有するため)
- 妊婦または妊娠している可能性のある女性(安全性が確立していないため)
成長ホルモン補充による副作用
成長ホルモンの補充療法は少量から始めて自覚症状や体の変化にあわせて調節していきますが、まれに以下のような副作用症状が現れることもあります。これらの症状に気づいたら担当医師に相談してください。ほとんどが一時的なもので、治療を継続していく間に症状はなくなります。
手足の浮腫
成長ホルモンの体液貯留作用により、手足がむくむことがあります。
手根管症候群
手首の手のひら側に神経の通り道となっている「手根管」と呼ばれる部分があります。ここが圧迫されて、しびれ感や握力低下などがおこってきます。
関節痛、筋肉痛
体の節々や筋肉の痛みを感じることがあります。
他のホルモンとの相互作用
成長ホルモン補充療法と他のホルモン補充療法を併用する際には成長ホルモンの作用が減弱されたり、他のホルモンの作用が減弱することがあるので注意が必要です。
- 成長ホルモンの投与により中枢性甲状腺機能低下症が顕在化することがあります。
- 副腎皮質ホルモン投与量が増加することがあります。
- 経口エストロゲン製剤では肝でのIGF-Ⅰ産生を抑制するので、貼付型エストロゲン製剤に比べて同じ効果を
得るのに高用量の成長ホルモンが必要となります。
- 成長ホルモンがテストステロンの作用を増強させ、特に治療初期に体液貯留作用が増強することがあります。