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低身長の原因

低身長だからといって、必ず病気であるということではありません。ご家族の背が低く子どもの背も低いといったように、体質や遺伝によるものであることも多いです。
しかし、中にはホルモンの異常、染色体の異常、子宮内発育不全などが原因となっている場合もあります。以下に低身長の主な原因について解説します。

低身長の主な原因
  • 体質的なもの
  • ホルモンの異常
  • 染色体の異常
  • 小さく生まれたことが関係しているもの
    (SGA性低身長症)
  • 骨・軟骨の異常
  • 主要臓器の異常
  • 心理社会的要因

体質的なもの

病気とは考えられない成長障害です。ホルモンや骨など異常がなく健康で、単に背が低い場合を体質性低身長といいます。

家族性低身長

両親のどちらかまたは両方に病気ではないが背が低い人がいる場合、子どもも背が低くなることを家族性低身長といいます。

特発性低身長

ホルモンにも異常がなく、他の病気も考えられず、家族性や子宮内発育不全でない場合を特発性低身長といい、低身長の中の多くを占めます。多くは、乳幼児期にミルクの飲みが悪かった、少食だったことなどの影響により、4歳までに低身長になってしまっています。

ホルモンの異常

成長ホルモン分泌不全性低身長症

脳下垂体からの成長ホルモンの分泌が低下、あるいは欠如した場合に起こります。成長ホルモン分泌不全性低身長症は①特発性(原因不明)のもの、②器質性のもの、③遺伝性のもの、の3つに分けられます。

① 特発性成長ホルモン分泌不全性低身長症

特発性とは成長ホルモン分泌不全が原因不明の場合を指し、成長ホルモン分泌不全性低身長症の約90%以上を占めています。特発性成長ホルモン分泌不全性低身長症の場合、年を経るごとに平均身長との差が大きくなるのが特徴です。
生まれた時は正常身長ですが、1歳ぐらいから身長が低めになり、2歳ぐらいになると成長曲線は明らかに-2SDを下回り、3~4歳以降になるとさらに-2SDの曲線から離れていきます。このように年を経るごとに平均身長との差が大きくなるのが特徴です。

① 特発性成長ホルモン分泌不全性低身長症

② 器質性成長ホルモン分泌不全性低身長症

脳下垂体やその周辺にできた脳腫瘍などが原因で成長ホルモンが分泌されなくなるために起こります。もともと正常に成長していた子どもがある年齢(病気の発症時期)から身長の伸びが悪くなるのが特徴です。

② 器質性成長ホルモン分泌不全性低身長症

③ 遺伝性成長ホルモン分泌不全性低身長症

非常にまれですが、下垂体形成に関する成長ホルモンの遺伝子異常が原因の場合におこります。成長障害の程度が極端に著しい特徴があります。

甲状腺機能低下症による低身長

甲状腺ホルモンも、成長ホルモンと同様に、子どもの成長と発育に大きな影響をおよぼしています。甲状腺機能低下症は、この甲状腺ホルモンが不足している状態で、先天的なものと後天的なものに分けられます。
先天性甲状腺機能低下症の原因は、甲状腺の形成異常や甲状腺ホルモンの合併症が多く、これらのほとんどはマススクリーニングにより新生児のうちに発見されます。後天的な甲状腺機能低下症の原因として多いのは、慢性甲状腺炎(橋本病)と萎縮性甲状腺炎などで、成長期にこれらの病気にかかると成長率が急激に下がります。

③ 遺伝性成長ホルモン分泌不全性低身長症

染色体の異常

ターナー症候群

女の子の成長障害の原因のひとつに、ターナー症候群があります。ターナー症候群は、女子に2本あるはずのX染色体のうちの一方が、欠損しているか、構造異常があるために起こる染色体異常症です。生まれた時の体格はやや小さいことが多く、手足の浮腫が目立つことがあります。他の子どもに比べて成長がゆっくりであり、幼稚園から小中学校にかけて次第に身長の低さが目立つようになります。
また、翼状頸(首から肩にかけての両側の皮膚にたるみがあり、ひだができる)や、外反肘(手のひらを前に向けて自然に両手を下ろしたときに、肘から先が外に離れる)などの身体的な特徴が見られます。
しかし必ずしもこれらの特徴をもっているわけではないため、疑いのある場合は染色体検査を行うことが重要です。平均的な女の子は、10歳頃から思春期に入り急激に身長が伸びますが、多くのターナーの女の子にはこの伸びがこないため、身長差がさらに大きくなります。

ターナー症候群

小さく生まれたことが関係してい
るもの(SGA性低身長症)

SGA性低身長症

SGAとは、「Small for Gestational Age」の略で、母胎にいる期間(在胎週数)に応じた標準の身長・体重に比べて、小さく生まれることを指します。同じ性別・在胎週数の赤ちゃん100人で比べたとき、身長と体重が小さい方から10番目以内に入るとSGA児と呼ばれます。
SGA児の多くは3歳までに身長が伸びて正常身長となりますが、身長の伸びが見られず、成人身長も低身長になる場合もあります。

SGA性低身長症

骨・軟骨の異常

軟骨無形成症・低形成症

成長に必要なホルモンが正常に分泌されていても、それらが作用する骨や軟骨自体に異常があれば成長障害が起こります。軟骨無形成症とは、軟骨の増殖が障害されているために骨が伸びない先天的な病気で、特に手足が短いのが特徴です。

軟骨無形成症・低形成症

主要臓器の異常

脳腫瘍や心臓、腎臓、腸、肝臓の慢性の病気など、生命に影響を及ぼす重大な病気のために低身長になることがあります。

心理社会的要因

栄養不足や愛情不足、極度のストレス、いじめなどによる精神的な原因によって身長の伸びが悪くなることがあります。