成長と健康 成長ホルモン治療情報サイト

低身長の問診・診察・検査

問診~検査の流れ

お子さんの低身長が気になる場合、小児科の先生に診てもらいましょう。病院へ行く際には、出生から最近までの身長と体重が分かるもの(母子手帳、学校でもらう成長の記録など)をご持参ください。
病院ではまず先生からの問診・診察があり、その後必要に応じていくつかの検査を行うことで、低身長の原因を調べます。

問診

まず、お子さんのこれまでの成長のしかたについて、先生から質問を受けます。

生まれたときの状態

仮死がなかったか/黄だんが強くなかったか/逆子で生まれたか/帝王切開か/在胎週数はどのくらいだったか/生まれたときの身長・体重 など

生まれてからの成長・発育歴

大きな病気をしたか/食べ物の好き嫌いはあるか/頭痛や便秘があるか/最近おねしょをしたか など

親御さん・ごきょうだいの成長パターン

親御さんやごきょうだいの現在の身長や身長の伸び方(早く伸びて早く成長が止まったか、あとから急に伸びたか) など

診察・検査

診察
  • ① 身長・体重を正確に測ります
  • ② 成長曲線を作成します
  • ③ からだを注意深く診察します
検査
  • ④ 左手のレントゲン撮影
  • ⑤ 血液検査
  • ⑥ 尿検査
低身長であることが確認されれば、それが病気によるものかどうか調べるために検査を行うことがあります。

現在の身長・体重を正確に測り、これまでの成長の記録も使って成長曲線を作成します。また、身体のバランス(胴体にくらべて手足が短いなど)で分かる病気もあるため、身体を注意深く診察します。
診察で低身長であることが確認されたら、それが病気によるものかどうかを調べる必要があります。その場合は、次のような検査を行うことがあります。

左手のレントゲン撮影

左手の骨のレントゲンを撮って、骨年齢を調べます。実際の年齢との差が離れすぎていないか、これからの身長の伸びなどを判別します。

血液検査

成長に関わるホルモンがきちんと分泌されているか、臓器に病気がないかなど、背が低い原因をおおまかに探るために血液を調べます。女の子の場合、女の子に特有の病気も稀にあるため性ホルモンや染色体検査を同時に行う場合もあります。 採血の量は5~10mL(小さじ1~2杯くらい)です。

尿検査

糖尿病や腎臓病がないかを診るために尿を調べます。

検査の結果がでるのは2週間~1か月後です。成長障害を起こす原因がある場合には、さらに詳しい検査を行うことになります。

検査結果
  • ① 極端に背が低い
  • ② 急に身長の伸びが悪くなっている
  • ③ 骨年齢が実際の年齢より大きく遅れている
  • ④ IGF-Ι(ソマトメジンC)が年齢の割に低い

成長ホルモン分泌不全性低身長症が疑われたとき、「成長ホルモン」についてさらに詳しく検査します。

コラム 骨年齢とは

子どもの骨は年齢とともに成熟していきます。そして、骨年齢は骨の成熟している度合いを見るための目安として用いられ、何歳相当というように表します。
骨年齢は、手のレントゲン写真を撮って、骨の数と形を調べることで分かります。これによって、実際の年齢(暦年齢)に対して成長が進んでいるか、遅れているかなどの判断ができます。
また、骨の成長は身長の伸びにつながるので、将来どれくらい成長できるかを推測することができます。

コラム 骨年齢とは
コラム 骨の成長

骨は「縦=長さ」と「横=太さ」の2方向に成長します。おもに縦方向への成長が身長を伸ばします。骨の骨端線にある軟骨細胞が増えて、骨におきかわっていくことにより骨が伸びるしくみになっています。
腕や足の骨の大部分を形成している細長い骨を長管骨といいますが、これをレントゲン写真でみると、骨の中央部にあたる骨幹とその両端の先にある骨端と呼ばれる部分にわかれます。骨幹と骨端の間に見える部分が軟骨で、レントゲンには白く写らず、これを骨端線といいます。
骨の中には、「破骨細胞」と「骨芽細胞」とがあり、破骨細胞が古くなった骨を溶かし(骨吸収)、骨芽細胞がカルシウムなどを付着させて骨を造ります(骨形成)。

コラム 骨の成長

精密検査

成長ホルモン分泌刺激試験

成長ホルモンは常に一定に分泌されているわけではなく1日の間で変動があるため、1回の採血のみでは正確な判断はできません。

成長ホルモン分泌パターン(正常思春期の場合)

成長ホルモンが正しく分泌されているかどうかを調べるためには、分泌を刺激するお薬を飲む、あるいは点滴をした後の約2時間まで30分ごとに採血を行い、血液中の成長ホルモンの分泌量を測定します。(採血の間隔は検査薬によって異なります。グルカゴンの場合は約3時間後まで30分ごとの採血、GHRP-2の場合は約1時間後まで15分ごとの採血を行います。)
成長ホルモン分泌刺激試験は、正常の場合でも分泌が低いことがあり、1種類のお薬の検査だけでは正確な判断は困難です。そのため、日を改めてもう1種類のお薬を使って検査を行います。
検査では成長ホルモンの分泌を促す薬を投与し、その後約2時間の間に何回か採血して血液中の成長ホルモンを測定します。採血の際、針を刺すのは最初の1回だけで、点滴と同じようにその針は抜かずに置いておきそこから毎回の採血を行います。
2種類の成長ホルモン分泌刺激試験で成長ホルモン不足が判明した場合、脳下垂体の他のホルモンについての検査を追加する場合もあります。

成長ホルモンの分泌能力を調べる薬 成長ホルモン分泌刺激試験の実施イメージ

他のホルモンについての検査

脳下垂体ではさまざまなホルモンの分泌をコントロールしています。成長ホルモンの分泌が不足している場合には、その他のホルモン(副腎皮質刺激ホルモン、性腺刺激ホルモン、甲状腺刺激ホルモンなど)の分泌も悪いことがあるため、検査を行います。実際の検査は、成長ホルモン分泌刺激試験と似た方法や、採血・採尿を組み合わせて行います。

脳のMRI検査

頭部の画像をみて、脳下垂体やその周辺に異常がないか調べます。頭蓋内の脳腫瘍がホルモン分泌を妨げることもあります。

医療機関の検索

お子さんの成長が気になったらなるべく早いうちに、お近くの医療機関で診察してもらいましょう。以下から、低身長について相談可能な病院を調べることができます。

※紹介状が必要な医療機関もありますのでご注意ください。 病院検索